3Dプリンター水溶性サポート実験2(正しい使い方)

9月 4th, 2014

3Dプリンターを使い慣れてくると、もっと綺麗に、もっと複雑な形状を設計し、作ってみたくなることも多くなってきます。複雑な形状になればなるほど、サポート材が多く発生し、サポート材の除去の後処理に手間がかかるのに加え、サポート材を剥がした部分が綺麗に仕上がらないこともあります。

それを克服するべく使用されるのが水溶性サポート材です。水溶性サポート材は、文字どおり溶解性のもので、サポート材を手やニッパーなどで剥がすブレークアウェイ方式ではなく、溶かして除去する為の材料です。サポート材が溶けるということは、それだけサポート材の除去時に発生する傷等も発生しないことになる上、手やニッパーで除去できない部分のサポート材も溶かして除去することができる為、非常に便利です。

今回のコラムは、以前にアップした記事である水溶性サポート材の実力は!?の続編です。

前回の実験では、使い方を間違えてしまっており、失敗しています。失敗例として、上記記事も参考にしていただければ幸いです。

さて、今回は、正しい使い方で、実験ができたと思われるので、それについてレポートしたいと思います。

まず、前回の失敗(水溶性サポートの実力は!?)と、基本的な条件を同じにすべく、以下の条件で実験をおこないました。

使用機種: Replicator2X (Makerbot Industries製 3Dプリンター)
使用材料: メーカー純正のABS樹脂、及び水溶性サポート材
使用モデル: 前回同様の紙コップホルダー(←こちらからダウンロードできます)
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溶解液: リモネン

さて、上記条件で、実験を行います。まずは、3Dデータを造型します。

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完成。画像で、白い色の部分がリモネンで溶解する水溶性サポート材です。造型物そのものは、赤色のABS樹脂で制作しています。今回のデータは、本来水溶性サポートは必要なく、通常のサポート材でも綺麗につくれますが、実験ということで。また、余談になりますが、本体の紙コップホルダーの周りが水溶性サポート材、及びABSの樹脂で囲まれていますが、これは、本来造型には不要です。デフォルトの設定で、二色刷りを行う場合、この機種だとこれが出てきてしまいます。ノズル詰まりを抑える為に一定程度は常に樹脂を吐き出している為だと思われます。これについてはまた、別途。

下記画像は、周りの部分を取り除き、本体だけを取り出した状態です。
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さて、では、いよいよ実験開始です。

DSC_0610

リモネン(250ml)を2本、ペットボトルをカットした容器1つ、造形物1個を用意しました。
※リモネンは、この白い材料を溶かす為の液体で、毒性がなく安全とのことでメーカには確認済。洗剤などにも多く使用されています。オレンジ等の柑橘系の皮から取れる成分ですので、柑橘系の匂いが結構します。一応換気しながら使うか屋外で使うかの方がいいかもしれません。

問題は、ここからです。前回の実験では、このリモネンを水で薄めて使用した為、溶かすのに長い時間がかかったうえ、最後に水で造型物を洗う際に、本体がベトベトの状態になり、苦労しました。これを踏まえ、今回は、水で薄めず、原液をそのまま使用します。

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造形物をペットボトルに入れ、リモネンを流し込みました。さて、どれくらいで溶けてくれるでしょうか。

90分後
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さすがに原液だけにしただけのことはあります。わずか1時間半でかなり溶けました。

4時間後

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わずか4時間で、画像上の通り、取っ手の部分に少しまだ残ってはいますが、ほぼ溶けきりました。すごいです。ネバネバもなく、綺麗に溶かし切った感じです。

これが正しい方法か、、、ということで、水で薄めてはいけないことがよくわかりました。ご使用になる場合は、水で薄めないようご注意ください。

そして、実は、このあと、急用があり、3日間放置することになったので、以下は、3日間も放置するとどうなるかも合わせてご覧ください。

リモネンに浸してから丸3日半ほど・・・・・

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水溶性サポートは、見る影もありませんが、ABS樹脂で作られた本体が、リモネンを吸い込みかなり膨張しているのがわかります。また、色も抜け落ちてきているのがわかります。さらにこれを触ってみると、もう完全にふやけてしまっており、木を水の中にずっと浸しておいた時のような感触です。時間がたてば、また固くなってはきましたが、形が完全に変わって固まってしまいました。

メーカー側の意図する溶解時間は、8時間~20時間程度のようですので、あまりに長い時間浸しておくのはあまりよくないかと思います。純液だと比較的すぐに溶解するので、この辺り注意してご使用ください。

また、おそらく、この液体は、何度か使用できるのではないかと思います。実験はしていませんが、まだまだ柑橘系の強い匂いがします。ただ、長期間放置して再利用するとどうなのか、といった部分もありますので、これについては、また別途追加実験をする機会があればやってみたいと思います。

あと追加で一点、リモネンは、比重が水よりも重いですので、混ぜた場合は、前回の記事を見る限り、リモネンと水は上限に分離しているように見えます。ただ、分離しているからといって、下の部分は原液に浸しているのと同じかというと違うようで、少しは混ざっていたり等、化学的なことはよくわかりませんが、とにかく混ぜるとネバネバになるということだけはわかりました。

ではでは、今回はこの辺で。


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