3Dプリンター水溶性サポート材の実力は!?

5月 1st, 2014

今回は、3Dプリンター用のサポート材について、そのサポート材の中でも水溶性サポート材の実力についてレポートしていきたいと思います。

これを読んで下さってる方は、ご存じだと思いますが、簡単に説明。サポート材とは、造型物を、3Dプリンターで造型する場合は、下から上に積層して制作しますが、通常は、下に積み重ねてきた層がある為に、積層してきた部分にさらにフィラメントを積層していきます。ですが、下に積層してきたものがない場合は、支え(サポート)がないと下にフィラメントが垂れてしまいます。これを防ぐ為に、サポート材というものを生成し、造型物の中に浮く部分を支えてやります。この支えに使う部分をサポートといいます。要は、下画像でいうと⇔部分は、空中に浮いていますので、下から積層して言った場合、その部分を作るとき下に土台が必要なわけです。

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さて、このサポート材、通常は、造型物と同じ材料でサポート材を生成させ、完全に密着しないようにソフトに支える方式が採用されています。そして、造型後に、手か何かしらの道具を使ってバリバリはがしていきます(ブレークアウェイ方式と呼ばれています)。が、これが結構面倒で、綺麗にうまく剥がせる形状とそうでない場合があります。また、材料の無駄をなくす為には、できるだけサポート材の生成を抑えたほうがいいでしょう。もっとも、通常は、サポート材に生成箇所は、各メーカーのソフトウェアによって自動的に計算されて生成されますから、ユーザ側は、サポート材、あり、か、なし、かの二つしか選択肢がありません。メーカーによってサポート材の生成箇所は、結構違います。また、そこは、サポート材要らないと思うような所でも、サポート材が生成されるなど結構やっかいです。

今回は、このブレークアウェイ方式でバリバリと剥がすのではなく、水溶性のサポート材を使って実験をおこなってみました。水溶性サポートとは、バリバリと後で剥がすタイプではなく、液体等につけると溶ける?タイプのサポートです。物理的にあとからサポート材を剥がせないような形状の場合や、綺麗にサポート材を除去する為に使用します。今回の実験に使用したプリンターは、MakerBot IndustryのReplicator2Xです。ヘッドが二つ付いており、片方(下画像左側)に造形物を制作する為のフィラメント、もう一方に(水溶性)サポート材(下画像右側)のフィラメントを装着しました。

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とりあえず、サポート材が必要な形状で実験する為、下画像のデータを使用しました。7オンス用の紙コップホルダーです。

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で、とりあえず、完成!(下画像)

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この白のフィラメントが水溶性サポート材です。ハートのところにサポートが生成されています。取っ手の部分に生成されていますが、ここは、サポート材がなくても造型できますので(実験済)、ある意味無駄なサポート材の生成ということになるでしょう。このあたりは、ソフトウェアのアップデートで修正が望まれます。

さて、ここからです。これを溶かすのに使うのが、D-リモネンという液体です。これは、オレンジ等の柑橘系の皮の成分で、ネットでも市販されています。洗剤などにも幅広く利用されています。

今回は、原液の濃度が95%のものを使用します。問題は、これをどの程度の濃度に薄めるかですが、今回の実験では、水:10に対して、Dリモネン:1という比率で薄めました。よって水400gをまずいれます(下画像)。※造型物やペットボトルの重さは除いています。

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次にリモネンを40g投入。

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D-リモネン、オレンジの匂いが結構します。悪い匂いではないですが、一応喚起しながら、進めます。一体どれくらい浸せば溶けるのか、ですが、メーカ側の公表値では、8時間~ということになっています。結構時間がかかります。

待つこと1時間。状態を確認してみました(下画像)。ペットボトルごしには、特に変化はないようです。

1時間後

1時間後

ということで、引き上げてみました(下画像)。触ってみると、もうかなりニュルニュルの状態で、手で簡単に剥がれる状態にまでなっていました。

1時間後2

このまま、全部外すこともできましたが、今回は、実験ということで、引き続き、液体に浸し続けました。浸し続けること4時間。ハートの部分がだいぶ溶けてきているのが確認できました(下画像)。

4時間後

4時間後

 

6時間後

さらに待つこと、スタートから6時間。ハートの半分以上が溶けています(下画像)。確実に少しずつ溶けてるのがわかりますが、完全に溶けるまで待つのは、結構気の長い話です。

6時間後

 

8時間後

そして、待つこと、スタートから8時間(上画像から2時間後)。ハートの部分は、外側から見る限りでは、ほぼ溶けました(下画像)。

8時間後

ただ、その他の部分は、まだ溶けきっておらず、まだ、しばらく時間がかかりそうです(下画像)。

8時間後2

 

12時間後

スタートから12時間経過。丸半日経ったことになります。随分とけてきていますが、取っ手の部分含め、まだ残っています(下画像)。

12時間後

 

24時間後

スタートから24時間。丸一日(下画像)。随分溶けはしたものの、まだ残っています。そして、溶けたサポート材によって、液体が結構濁ってきています。

24時間後24時間後224時間後3

60時間後

まだ、少し残ってはいますが、ようやく、ほぼ溶けきりました(下画像)。そして、実は、この後、大変でした。

60時間後

 

画像がなくて恐縮なのですが、造型物がネバネバの状態で、洗っても洗ってもなかなかとれません。洗ってる手にもノリのようなものがひっつき、四苦八苦しました。洗剤で洗っても、たわしをつかっても、シンナーを使ってみても、なかなかとれませんでした。

十分な水に濃度を高めて浸すことがこつなのか、今のところ、よくわかりません。このあたりの、後処理については、今後、追加実験を行いレポートしていきたいと思います。今回の造型物は、水溶性サポートで作るよりも、ブレークアウェイ方式であとからバリバリ取る方法の方が綺麗にできると思います。今回のデータのダウンロードは、以下からできます。

紙コップホルダー:ハート型

~その後の追加実験は、以下から見れます。正しい使い方が分かったので、ぜひ、ご覧下さい~
3Dプリンター水溶性サポート実験2(正しい使い方)


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