3Dプリンター サポート材を回避する方法

12月 29th, 2015

3Dプリンターで、モデルを造型する際、形状によってはサポート材が必要になります。低価格帯の3Dプリンターでも、水溶性のサポート材というのが提供されている場合がありますが、サポートの除去というのは、いずれにしても面倒です。

3Dプリンター水溶性サポート材の実力は!?

今回のコラムでは、サポート材を使わずに造型できるようにちょっと工夫してみようというのがテーマです。
形状によっては、サポート材は、必須です。これを断ったうえで、できる限りサポート材を使わずに造型してみようということです。

サポート材を使わざるを得ない場合の最適化については、次回のコラムにて紹介したいと思います。

さて、今回は、サポート材回避の方法を、三つ紹介したいと思います。

サポート材回避方法➀ 【造型方向の工夫する】

造型方向について工夫すると、サポート材を回避できます。これについては、単純な方法ですが、このようにされていない方もいるようですので、触れておきたいと思います。

以下のモデルは、スマホスタンドとして使う為に作成したものです。
図1

完成品は、下の画像のようになります。

図2

作った後に、使用する際は、画像上の向きで使うわけですが、単純にこれを下から上に材料を積層する場合、空中に浮いている部分がありますので、必ずサポート材が必要になります。

一方、このモデルを造型テーブル面に対して横にするとどうなるでしょうか。
画像下は、このモデルを寝かせて真上から見たものです。単純な形状を上に押し出している形状ですので、低価格帯の3Dプリンターでは最も作りやすい形状の一つになります。

こうするとサポート材は、一切不要になるわけです。

図3

非常に単純なことですが、 「使う時の向き」 と 「作る時の向き」 を同じにする必要はないわけです。
但し、積層方向による強度の違いが、存在するのも事実ですので、これを加味して積層方向を決める必要があります。サポート材回避を優先するか積層方向を優先させるか、これを天秤にかけて考えるとよいでしょう。

このデータは、以下からダウンロードできます。
スマホスタンドの3Dデータ

サポート材回避方法➁【FDM方式をうまく利用する】

二つ目の方法は、FDM(熱溶解積層法)の特性をうまく利用することです。
画像下は、スマホスタンドですが、先ほどとは形状が異なります。この形状に対して、サポート材の回避ができるのか、という問いになります。

このデータは、以下からダウンロードできます。
スマホスタンドの3Dデータ

図4

画像下は、➀の方法で、横に倒して真上からみたものです。これだけを見ると、➀の方法でサポートを回避できるように見えます。

図4

一方、モデルを横から見たものが画像下です。向きを変えることでサポートを回避できると思いきや、横からみると中空になっている部分(画像下の赤丸部分)が存在しています。
しかも、中空の部分は、90度。通常は、絶対にサポートが必要な勾配角度です。

図5

さて、ここで、FDM方式の3Dプリンターの特徴について少し考えてみましょう。FDM方式の3Dプリンターでは、溶けたフィラメントは積層の開始点から終点までは繋がっている為、下が中空であっても、ある程度、垂れずに持ちこたえることが出来ます。

画像下は、イメージ図ですが、両端に柱があります。ここに糸をかけた際のものです。柱の距離が遠い場合、単純に糸を掛けると当然垂れ下がります。

図6

一方、画像下は、柱と柱の距離を画像上のものよりも縮めたものです。柱どうしの距離が短くなると糸の垂れ下がりも当然小さくなります。柱どうしの距離を短くすればするほど、垂れ下がりは相対的に小さくなるわけです。

図7

この特性を、FDM方式の3Dプリンターでも利用しましょう。
3Dプリンターで、この考えを適用した場合、綺麗にできる柱間の距離は、10mm程度まででしょう。冷却ファンの能力、材料の特性、材料を溶かす温度の設定、積層ピッチ設定などによって、微妙に変わりますが、5mm程度までなら、ほぼ問題なくサポートは回避できるはずです。お使いのプリンターで実験してみて、限界値を調べる必要がありますが、これを利用すると、サポート回避に使えるかと思います。

画像下の今回の造型物の場合は、柱どうしの間隔がせまい為、サポートなしで造型できてしまいます。

図5

サポート材回避方法➂【本当に必要な形状・設計かを再検討する】

三つ目は、回避の方法というには、少し語弊があるかもしれませんが、そもそもの設計を見直すことです。
工業製品やDIYでのホビー品に関わらず、あるいは、自分で作ったモデルでもそうですが、不要な要素を含んでいる場合があるかと思います。

設計時にすべてを意図して作っていれば、設計変更の余地はないかもしれませんが、ある部分は、必ずその形状にしなければいけない一方、別の部分は、特に理由もなく、ただそうしてみた、という設計が存在する場合があります。

この「特に理由もない部分」を見直し、設計変更をかけると、作りやすい形状になることもあります。「まあ、ここは、こうしてもいいかな」という部分で作りにくい部分は、作りやすく変更することで、サポート回避のみならず、綺麗な造型ができることがあるので、これについても検討してみましょう。

以上、三つのサポート回避を目指す方法を紹介しましたが、どうやってもサポートが必要な場合もあります。この場合は、サポートを付加するわけですが、今度は、どうやって、サポートを最小限に、最適化するのを考える必要があります。次回は、これについて取り上げてみたいと思います


column