3Dプリンターで細かいパーツを作るコツ

1月 14th, 2015

今回は、3Dプリンターで細かいパーツを制作するコツについてレポートしてみようと思います。ここでは、高価格帯の3Dプリンターではなく、いわゆる低価格帯の3Dプリンター(FDM方式:熱溶解積層法)でのお話です。

低価格帯の3Dプリンターで小さいパーツを制作しようとすると、積層した部分が完全に固まってしまう前に、次の層を積層しにいこうとする為、綺麗に積層できず、垂れてしまうことがあります。最近では、ソフトウェア側の制御が向上してきており、形状を考慮して積層速度をうまくコントロールしてくれたり、あるいは、積層速度をこちらで設定し、調整することができたりもするので、これについては回避できるようになりつつあります。
ただ、こういった制御ができず、常に一定の速度で造型し続けるというプリンターもあることに加え、制御を試みても、やはりまだ完成された制御というわけにはいかないのも、これまた現実でしょう。ですので、今回は、アナログ的に調整する方法についてご紹介したいと思います。

さて、今回は、ボルトの製作を例に、これについて、ご紹介したいと思います。これは、そもそもプリンター側の性能の限界を超えて細かいものができるというわけではなく、あくまで性能を引き出す為の一つの例としてお読み頂ければと思います。

今回使用するデータはM12ボルト(首下35mm)にします(画像下)。
図2

このデータは、ボルトのネジキリの部分にサポート材を使うと逆にその後のサポート材除去作業が発生し、綺麗に作るのが難しくなりますので、サポート材不要で作りたいわけです。ところが、これをサポート材なしで単純に制作するとボルトのネジキリ部分が垂れてしまう場合があります。M12ボルトということで、直径12mmと比較的小さく、ネジキリ(ネジピッチ1.75mm)の部分はさらに小さく細かい造型が要求されます。

さて、では、まず、単純に以下の条件で作ってみます。

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3Dプリンター: CubePro Duo
(3Dsystems社製(低価格帯のプリンターとしては、メーカー知名度も高く、価格も高い部類に入るでしょう。))

使用材料: PLAフィラメント
(今回は、ABSではなく、PLAを使用します)

積層ピッチ: 0.2mm

造型個数: 1個
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図1

画像上のように、CubeProで造型する為に専用ソフトでSTLファイルを取り込み造型用データへ変換します。ここでは、特に何も特殊な設定はしていません。通常通り設定するだけです。この条件で、造型したものが画像下です。

図3

画像上の右側にあるボルトが今回作成したもので、左側は、綺麗に作成されたものです。データは、全く同じで、使用した3Dプリンターも全く同じですが、今回作成したもの(画像上右側)は、ガタガタしています。右側のものだけ見やすくアップします。
積層されたフィラメントが垂れ下がっているのが分かります。

図4

もっとも、今回のケースでは、これでも、ナットはきちんとはまるので(画像下)、機能的に大きな問題があるわけではないです。
図7

さて、なぜこういうことになるかですが、冒頭でも少し触れましたが、これは、造形物が小さい為に積層した部分が固まってしまう前に次の積層が始まってしまうことで、綺麗に接着されていないことが原因と思われます。樹脂は溶けても比較的すぐに硬化しますが、それよりも早い速度で積層するとガタガタになってしまうわけです。ABSなどで造型する場合は、材料の特性の違いからか、今回のケースのようなことが起こりづらく、ボルト程度のものでは、ガタガタになったというケースは、こちらではこれまでないです。ABSは、ABSで収縮の問題など扱いにくいさもありますので、対応方法については、また、別途。

さて、では、PLAで今回のようなものを作る場合、どうしたらいいのか。答えは、簡単です。積層された部分に、さらに積層されるまでに一定の時間をおけばいいだけです。これをどうやってやるのか、ということですが、一番簡単なのは、画像下のように、一度に一つだけを制作するのではなく、同時に複数個制作すれば簡単に解決できます。
FDM方式の3Dプリンターは、下から上へ積層されて造型されますので、これを利用するわけです。一つのモデルの1層目を積層したあと、二つ目、三つめのモデルの1層目を作らせることによって、一つ目の二層目にいくまで時間を稼げるわけです。

図3

画像上の設定で造型したものが、画像下です。今度は、垂れることなく、綺麗に造型できています。ここでは、複数個同じものを制作しましたが、これは、別にダミーモデルを作らせる方法でも問題はないわけです。ダミーモデルを造型している間に、メインモデルの樹脂が硬化しますので、綺麗にできるようになるはずです。

図8

図9

この方法は、あくまで材料側の特性に合わせる為に、ダミーモデルを作っているのであって、3Dプリンター自体の性能を向上させているわけではないので、そもそも綺麗に造型できない3Dプリンターでやれば、もちろん綺麗にできるはずはないので、その点にはご注意下さい。細かいコツですが、うまくいかない場合は試してみると綺麗に作れる可能性があります。

ではでは。


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